ハリウッド映画への出演に俳優組合SAGに加入は必要?
アメリカで俳優を目指す方にとってほとんどの人がSAG-AFTRAという言葉を聞いた事があるかもしれませんが、この俳優組合は米国内では無視できない非常に大きな組合団体です。
まず結論として申し上げますと、アメリカでの映画やテレビ出演に際し、俳優組合に加入する必要はありません。アメリカで俳優の活動を始めると皆さんは「NON-UNION(非組合員)」としてカテゴリー化されプロダクション側、もしくはCD(キャスティングディレクター)からキャスティングされ仕事をする事になります。オーディションでは組合員かどうかは実は関係はないのですが、SAGとして雇う役の場合には、まずはSAGから選考され、そこで相応しい人がいなければもちろんNON-UNIONからもキャスティングの範囲が広がります。プロダクションはSAGの組合員だけを見ているわけではないという事です。
俳優組合とは?
日本で芸能活動の経験がある人にとって組合というのは身近に感じた事がないと思いますが、日本でも昨今労働環境が問題視され、『映画製作、労働環境の適正化へ一歩 基準適合で「映適マーク」発行へ』などでニュースになったかと思いますが、アメリカにおいてもそういった労働環境の徹底したルールを守っているかどうか、報酬、など法律のように決めこまかい状況に応じて逐一規定を軸に、撮影現場でSAGが常に現場を監視をし、俳優を守るのが俳優組合です。社会保障制度や失業保険のような制度も組合によっては存在します。映像関係の組合でいうとアメリカではSAG-AFTRA(Screen Actors Guild–American Federation of Television and Radio Artists)、舞台の場合にはActors’ Equity Association、またカナダで活動する場合にはACTRA(Alliance of Canadian Cinema, Television and Radio Artists)、イギリスではEQUITYがメジャーです。
どうすれば俳優組合に加入できる?
俳優組合によって異なりますが、当サイトではアメリカでの活動を念頭においた主旨を取っている為、SAG-AFTRAでのケースをご紹介します。
- Taft-Hartley|アメリカでの撮影をした事を証明する雇用に関する資料
- 提携の俳優組合ですでに一年程度の仕事をし、報酬を得ている場合
- バックグラウンド バウチャー
Taft-Hartley
Taft-Hartleyという言葉を聞いた事がある人もいるかもしれませんが、SAG-AFTRAに署名したプロデューサーが現在組合に所属していない俳優を雇った後にSAG-AFTRAに提出されるレポートです。非組合員でもその後、「SAG 適格」とみなされ、30 日間、組合の作品に好きなだけ出演することができます。ただし、その 30 日間が終了した後は、次に取り組む SAG-AFTRA プロダクションで組合に参加する必要があります。
提携の俳優組合で実績がある場合
パフォーマーが ACTRA、AEA、AGMA、AGVA などの提携パフォーマーズ ユニオンの有料会員であり、1年間働いて報酬を受け取っている場合、パフォーマーはSAG-AFTRAに参加できます。その組合の管轄区域で主要なパフォーマーとして少なくとも1回。主要なパフォーマーというのは、”principal performer” or “Principal”と呼ばれ作品にとって必要な役を指し、エキストラより大きな役での参加を意味します。
エキストラの仕事を通じて加入資格を得る
アメリカではエキストラの事をバックグラウンドと呼びます。SAG-AFTRAの加入資格を得るには、単にNon Unionのエキストラをしただけでは仕事としてみなされませんが、SAG-AFTRAに登録したプロダクションでバックグラウンド アクターとして3日間の仕事を行うと、参加資格が得られますが、「バウチャー」(給与明細)が提供された場合に限ります。作品にバウチャーがある場合 (最初に組合の俳優に配布されます)、その日に1枚受け取ります。目標は、1日ごとに1枚ずつ、合計3枚のバウチャーを集めることです。Taft-Hartley ルールとは異なり、SAG-AFTRA プロダクションに参加する必要がある前に行うことができる背景の役割の時間枠や数に制限はありません。これは通常、組合に参加する資格を得る最も簡単で直接的な方法です。
ハリウッド映画に出演するには俳優組合SAG-AFTRAに加入は必要?
やっと本題ですが、まずハリウッドにかかわらずアメリカ国内で映画やドラマを制作するプロダクションがもしSAGに加入している俳優を役者として雇う場合には、その予算規模にかかわらず、プロデューサーは必ずSAGと契約する必要があります。契約のパターンも様々です。テレビや映画で見るハリウッド俳優のほとんどはSAGメンバーですので、当然予算が大きいプロジェクトのほとんどは、商業的に成功する目的がありますので結果的にSAGと契約する事になるわけです。ですが、この契約は非組合員を役者として雇ってはいけない、という項目はありません。一人でも組合員がいる場合には契約が必要という事です。ここで注意しておきたい点はSAGに入会すれば大きな機会が得られる、と誤解をしてしまう、活動したての俳優が多い事にあります。別の記事で別途とりあげますが、SAGに入会するとその分、非組合のプロジェクトには参加できなくなり逆に制限がかかってしまう為、入会する時期は、よく考える必要があります。
俳優としての準備が大切
SAGに入会して役をゲットした場合、詳細はSAGの規定に準じますが、日当は10万円以上のケースがほとんどです。コマーシャルやボイスオーバーの仕事にしても使用料が撮影のギャラとは別に発生しますので、一年で数回ブッキングされた場合でもサラリーマンの年収程度になったりする案件も少なくありません。しかしながら、当然、その分、競合がたくさんいます。オーディションから一人、あるいは数人のみ選ばれるわけですのでオーディションの段階で完璧かつ、自分らしいパフォーマンスであることが非常に重要です。とりあえずこんな感じ、という程度ではほぼ受かる事はないでしょう。自分の強みを自分が知って下さい。その知る作業こそ、これから始める俳優やキャリアを伸ばそうとする俳優にとって重要となります。
オーディションに呼ばれる努力を
すでに知り合いが業界にたくさんいて、自分の事を良く知っている仲、かつ俳優としてラブコールを受けている人やすでに強力なエージェントのバックアップで売り出される事が約束されている人は問題ないかもしれませんが、そうでない人にとってはオーディションに呼ばれるだけでも一苦労です。セリフがあり、特にドラマ等で特別な役、あなたの人種にあった役はまずインターネットで通常、募集をかけたりしません。エージェントに入る必要もある時期からは出てきます。
エージェントについては別途記事を出しますが、まずは自分の必要な準備をしてください。本を読み、人に会い、業界を知り、そしてあなたのベストなパフォーマンスを証明できる資料を作成する必要があります。それがヘッドショット、ポートレート写真と演技リールなのです。それらの準備物についてもまた記事にする予定です。当サービスは海外向けの演技リールに特化した日本に拠点を置くプロダクションサービスですが、海外の情報はなかなか得ずらい事情も熟知していますので、本記事のような演技リールとは関係なくても俳優に関する質問であれば何でも大歓迎です。ぜひお気軽にお問合せ下さい。